REPORT
2016.01.29
“SEA DAY 01” 開催レポート [A-2] 「はたらく」と「食」
「はたらく」ことと「食」は切っても切れない関係。就業中の食事が健康状態につながります。ローソンと日の丸交通のコラボレーションという形で、日の丸交通の社員がローソンの商品を通じて健康状態の改善に取り組んだ模様を、社員の体験談を交え紹介していきます。
2016.01.29
「はたらく」ことと「食」は切っても切れない関係。就業中の食事が健康状態につながります。ローソンと日の丸交通のコラボレーションという形で、日の丸交通の社員がローソンの商品を通じて健康状態の改善に取り組んだ模様を、社員の体験談を交え紹介していきます。
Part2からの延長戦なった本セッション。まず最初に岡村製作所の山本から、「みなさんは普段、『食』に気を遣っていますか?」という問いが投げ掛けられ、「国産の食材を使うように心がけている」、「健康のために、野菜多めの食事を摂るようにしている」、「魚中心の食事をするようにしている」といった声があがりました。健康に関して、食に対して様々な考え方がある中で、今回テーマの中心とするのは、「糖質と食べ合わせ」。
アンバランスな食事や運動不足といった、生活習慣から起こりやすいとされるメタボリックシンドロームや、糖尿病を防ぐための太りにくい食事の摂り方として、今注目されているのが「ロカボ」です。「ロカボ」とは、糖質を制限する食事法のことで、糖質を制限することで、血糖値の急激な上昇を抑え、脂肪を貯めにくくする効果があり、我慢しないゆるやかなダイエット法として、関心を集めています。ロカボに効果的な食品の例として、鈴木氏から、ローソンで販売されている「ブランパン」という商品の紹介がありました。ブランパンは、「ブラン」という、オーツ麦とお米の外皮を細かく粉砕したものが配合されており、一般のロールパンに比べて、糖質が80%カットされています。
鈴木氏が、この商品をどうやったら世の中に認知してもらえるか、悩んでいたタイミングで、出会ったのが日の丸交通の富田社長でした。タクシーの乗務員は、「世の中の社長より動かない職業」と言われるほど、就業時間内の運動量が少ない仕事です。食事もコンビニを利用することが多く、糖質を多く摂ってしまいがちで、数多くの社員がメタボリックシンドロームという診断がされたそうです。そこで、社員の健康状態を改善したいと考えた日の丸交通からローソンにアプローチが掛かり、そして、ローソンと日の丸交通のコラボレーションという形で、社員にローソンの商品でロカボを実践してもらう「ロカボチャレンジ」が実現していきました。
「ロカボチャレンジ」では、まず日の丸交通の乗務員に糖質に関する講演を受けてもらい、コンビニの商品の中でも、糖質をおさえた食品の探し方を知ってもらいました。また、食後の血糖値の上がり方こそが、メタボリックシンドロームの解消には大事ということも理解してもらい、食後の血糖値の上がりにくい食事についてもレクチャーが行われました。この講演にもとづき、3ヶ月の間、勤務日に緩やかな糖質制限食を心がけるようにしてもらった結果、参加者全体で血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の数値が下がり、中でも血糖異常の方では、強力な薬を使用したときとほぼ同じ効果が出ていたことがわかりました。食生活の改善だけで、薬と同等の効果を得ることができたのです。この結果を受けて、今では様々な企業がこの取り組みに興味を持っているそうです。
鈴木氏は、「ローソンとしては、健康に気をつけたいなと思ったときに、コンビニに寄ってもらえるようになりたい」と、「マチの健康ステーション」としてのローソンの将来像を語りました。
次に、日の丸交通の西川氏から、乗務員の平均年齢の高齢化など、タクシー業界の健康を取り巻く現状が紹介されました。また、「ロカボチャレンジ」後の乗務員にアンケートをとったところ、「集中力が増した」、「運転中の眠気がなくなった」といった業務効率の向上に関する声が多くあったそうです。そこで、1日の平均ハンドル時間(お客様を乗せて運転している時間)を調査したところ、「ロカボチャレンジ」前と比べて、6分も増加していることがわかりました。食生活の改善によって、生産性の向上につながっていることがわかり、今後日の丸交通では全社的にロカボに取り組んでいく予定、ということです。
続いて、実際に「ロカボチャレンジ」を実行した日の丸交通の渡部氏から、映像を交え、体験談が語られました。渡部氏は、「ロカボチャレンジ」前から糖尿病と診断されており、5種類の薬を服用する状態でした。主治医からはカロリーの制限を心がけるように言われましたが、なかなかうまくいかず、「このままだと命に関わる」と言われるほど深刻な状態まで悪化していました。当時は勤務中に強い眠気を感じ、仮眠すると2時間も経ってしまっていたり、夏場には体調を崩すことも多くあったそうです。
渡部氏は、ロカボについて、「ロカボは、我慢をしなくていいんです。これなら続けられると思いました。ロカボチャレンジを経験して、買い物をするときに、栄養成分表の炭水化物の欄を見て食品を選ぶようになりました」と、ロカボを通して学んだことについて語りました。「チーズは糖質が少ない」、「ノンカロリーの甘味料は摂ってもよい」といった正しい知識を身につけたことで、ストレスを感じることなく糖質制限を続けることができたそうです。1回の食事で厳密に制限を設けるのではなく、減らせる分だけ制限すればよいという考え方で実行できたことも、渡部氏にとっては好都合だったと言います。
「勤務日だけの糖質制限という条件だったので、休みの日にはアイスを食べてしまうこともありました。それでも、取り組んだ分だけきちんと結果が出るんです。飲み会などの席では食べ過ぎてしまうこともありますが、そのかわり、体の負担を減らす日を作れば良いんです。柔軟にできるところがロカボの良いところです」。
生産性の向上については、実感として仮眠をする時間が減り、仮眠後にすぐ行動を取ることができるようになったそうです。最後に渡部氏が、「ノンオイルドレッシングの方が、普通のドレッシングよりも炭水化物の値が高いんです。あと、チャーハンの方が、白米より血糖値の上昇が穏やかなんですよ」と、「ロカボチャレンジ」での気づきについて話し、参加者からは驚きの声が上がっていました。
鈴木 一十三
株式会社ローソン ホームコンビニエンス事業本部 部長 健康ステーション推進委員会
1999年ローソン入社。店舗勤務、人事部(社会保険担当)、商品開発、『プレミアムロールケーキ』プロジェクトメンバーを経て内閣官房国家戦略室に出向。その後営業戦略本部にて健康ステーション推進委員会事務局長を経て現在ホームコンビニエンス事業本部に着任。
西川 浩康
日の丸交通株式会社 企画部
タクシードライバーの高齢化に伴い、健康状態に問題を抱えているドライバーも多いため、社外の専門家や企業の協力を得て、食事や運動に関するアドバイスと管理を行う『メタボ社員ZEROプロジェクト』をスタート。第一弾企画として、株式会社ローソンの協力のもと、『ロカボ・チャレンジ』を実施。
山本 大介
株式会社オカムラ WORK MILLプロジェクトメンバー
プランナー(IoT、健康経営分野)、OFFICE CAMPERS、コラボレーション・クリエイター、ワークショップ・デザイナー(青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム卒業)。豊富なプロジェクトマネジメント経験やフリーランスフォトグラファーとしての経験などをバックボーンに、共創プロジェクトの企画・推進や講演活動、システム開発、コピーライティングまで多岐に渡り行う。
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