REPORT

2025.06.03

【イベントレポート】「まずやってみよう!自分のためのグラレコ術 ~思考を整理し、伝える力を高める『ビジュアル化』ワークショップ~」を開催しました

ビジュアルを使って情報をまとめるグラフィックレコーディング(グラレコ)がビジネスのあらゆる場面で活用されていることはご存知でしょうか。複雑な内容を瞬時に相手へ伝えられるだけでなく、自分の思考の整理にも効果的なグラレコ。
今回は、重工業メーカーで新規事業を担当する傍ら、グラレコサービスなどを提供するSketch Communicationを立上げた原純哉さんをお招きし、誰でもすぐに実践できるビジュアル化のコツを学びました。

WORK MILLは、「もっと、ぜんぶで、生きていこう。」をステートメントに、はたらくことや生きることについてみんなで探究・共創することで、すべてのはたらく人の“明日”に新しい可能性をひらいていく活動 をしています。

今回のイベントは、テキストではなくビジュアルを使って情報をまとめる手法として注目をあつめる「グラフィックレコーディング(以下、グラレコ)」を学び、自分の思考の整理や、相手へ情報を伝えるスキルアップにつなげるイベントを開催しました。

 

グラレコって、そもそも何?

グラレコとは、会議やワークショップなどでの議論や話し合いの内容を、視覚的に絵や文字で記録する手法のことです。会議で誰かが話している内容を、イラストや図、吹き出しなどを用いて、その場でホワイトボードやデジタルツールに描いていきます。

今回、グラレコの講師としてお招きした原純哉さんは、重工業メーカーで、ベンチャー企業と社内事業部を繋ぐオープンイノベーション推進や、社内新規事業推進者の支援に取り組む傍ら、自身の事業としてSketch Communicationを2021年に設立。企業のビジョンをグラフィックで可視化させる「ビジョンスケッチ」や、その人のストーリーから想いを描く「プロフィールスケッチ」、セミナーや会議などを単なる議事録で終わらせずにグラフィックで構造させ理解を深める「グラフィックレコーディング&ファシリテーション」などのサービスを提供しています。

ビジョンスケッチ事例「ONE SLASH様 〜 お米xクラウドファンディング」
プロフィールスケッチ事例「清水 久三子 様」
グラフィックレコーディング&ファシリテーション事例「ソーシャルキャリアフェス2024」

Sketch Communication

https://www.sketch-cmn.com/

 

小説は読めるのに、なぜビジネス書は読みにくいのか?

小説ならスラスラと読めるのに、ビジネス書となると数ページ読んだだけで集中力が切れてしまう……そんな経験は皆さんあるのではないでしょうか?小説は具体的な表現が多く頭の中で映像化がしやすいことに対して、ビジネス書は抽象的で頭の中で映像化しにくい、といったイメージのし易さの差に理由があると原さんは語ります。「議事録は文字だけでなく、図や絵などを上手く活用することで、視覚的に把握しやすくなり、読み手に理解されやすくなります。さらに映像化されることで記憶もされやすくなる効果が期待できます」

以前、Seaのイベントで原さんにグラフィックファシリテーションしていただいた時の様子も紹介。

グラレコの種類

グラレコには、場の情報を読み手のために記録する「グラフィックレコーディング」、その場の対話を見える化することで刺激する「グラフィックファシリテーション」と、その場の情報を自分のために記録する「スケッチノート」などがあります。イベントでは、初心者でもはじめやすいスケッチノートを取り上げ、そのポイントを学びました。

スケッチノートを活用することで、自分自身の思考整理ができるだけでなく、読み手にも齟齬なく的確に情報解釈してもらえることが期待できます。例えば以下のAさんと原さんのトークメモ、テキスト(写真上)とスケッチノート(写真下)とでは、どちらが読みやすく感じるでしょうか。恐らく多くの人がスケッチノートの方が読みやすく理解しやすいと感じると思います。

 

Aさんと原さんのトークメモ。
Aさんと原さんのトーク内容をスケッチノートで整理。

スケッチノート3つのポイント

さらに原さんは、スケッチノートを描くためのポイントとして3つのことを意識すると良いと話します。1つ目は「ロジックつなぎ」で、これは事象や思考プロセスを論理的に整理することです。例えば、”Aさんが本業のコンサル会社で担当していた技術職から、副業で関わっていたB社の運営に本業をシフトした”という内容を読むだけでは理解しにくですが、上記スケッチノート中央のように整理して描くことで理解しやすくなります。そして2つ目は「箇条書きレイアウト」。これは1枚のスケッチノートに箇条書きのような形で整理していくことで全体が整理され、理解しやすくなります。3つ目は「感情ビジュアライズ」。事実情報と感情情報をセットで描かないと読み手の解釈が変わってしまう場合があります。感情は文字で表すと煩雑な文章になりがちですが、イラストで感情を表現することで、感情も含めて情報を的確に解釈してもらえるようになります。

 

【スケッチノートを描く3つのポイント】

1:ロジックつなぎ

2:箇条書きレイアウト

3:感情ビジュアライズ

 

感情ビジュアライズにチャレンジ!

イベント後半は参加者の皆さんと一緒に感情ビジュアライズにチャレンジ。

原さんは「絵心がないという人がいますが、誰でもみんな絵心はあります。絵を見ていいな、と思うということは絵心がある証拠です。絵が上手い・下手は関係なく、思うままに絵を書いてみましょう」と話し、まず最初のトレーニングでは、ひたすら線・丸・四角を描くワークに取り組みました。ここで意外だったのが、ただの線・丸・四角と言っても、参加者の皆さんそれぞれに個性があったことです。描いた作品はLINEのオープンチャットで共有し、お互いにリスペクトの気持ちをこめてスタンプを送り合いました。

 

線の描き方にもそれぞれの個性があふれる。
描いた作品はテーブル内で共有し、LINEオープンチャットで会場の参加者全員にも共有。
みんなの写真をモニターでシェアする原さん。

参加者同士でイラストを見せ合ったことで、イラストを描くことに抵抗がなくなってきたところで、事前にテーブルに配られた「顔・体アイコン」のサンプルシートを活用し、ストーリーをイラストで描いてみるワークにチャレンジ。

“朝寝坊して、学校に走って行く”というお題に対して、顔が苦しい表情と真剣な表情に変わるだけで、大きく印象が変わることが分かります。

 

顔の表情が変わるだけで、印象もまったく異なる作品に。

グラレコが得意なこと、苦手なこと

原さんは、グラレコと議事録の役割を比較し紹介しました。

「グラレコが効果的なポイントとしては、読み手に対し読むことへの心理的負担を軽減する効果や、初見者への関心を集め、読み手の記憶に残る効果などが挙げられる一方、情報の正確性や公式性などは弱いです。ですが、グラレコを描いていると、言葉と言葉がつながる瞬間があり、新たな気付きに繋がったり、議論が活発になる効果もあります。グラレコと議事録は併用することで良い効果を発揮すると思います」

 

グラレコと議事録の役割。

最後に原さんは、「グラレコを描いてみようと促すと、よく『絵が描けない』という人がいますが、実際には『絵を人に見せることに抵抗がある』のではないかと感じています。今回のイベントでは、オープンチャットを使ってみんなで描いたものを見せ合うことで、人から評価される嬉しさや、『もっと見てほしい』という気持ちを感じてもらえていたら嬉しいです。これをきっかけに、ぜひグラレコを仕事や生活の中でも活用してみてください」と、参加者の皆さんに笑顔で呼びかけました。

 

最初は緊張した面持ちだった皆さんが、最後には笑顔でイラストを見せ合い、楽しそうに交流されている様子がとても印象的でした。 グラレコは、年齢や性別に関係なく、誰もが直感的に理解し、共感できる表現手法だと感じます。原さんが紹介してくださったアイコンサンプルや、スケッチノートを描く3つのポイントを参考に、まずは会議の議事録や自身の思考整理にグラレコを取り入れてみてはいかがでしょうか。
WORK MILLでは、「はたらく」の多様な可能性を探求することを目的に、今後もさまざまなイベントを開催していきます。ご興味のあるイベントがあれば、ぜひご参加ください。

 

テキスト:赤星 昭江
写真:株式会社ATOMica、株式会社オカムラ

 

 

- 登壇者

原 純也 氏

Sketch Communication 代表

大学院で造船工学を修了後、重工業メーカーで15年にわたり造船技術、鉄道車両新規事業開発、自律走行ロボット事業開発を担い、現在は同社で新規事業創出支援を手掛けつつ、事業共創施設の運営に従事。 並行して、エンジニア、事業開発、コーチングの知見を活かし、アイデアやビジョンを整理し図化するサービスや、図解を使ったファシリテーションを提供する、Sketch Communication事業を運営中。

前田 英里

株式会社オカムラ 働き方コンサルティング事業部

WORK MILL統括センター

岡山県出身。2017年オカムラ入社、オフィス研究所に在籍しリサーチ業務に従事。その後WORK MILLに参画し、ビジネス誌やウェブメディアの企画運営・編集、Open Innovation Biotope “Sea”でのイベント運営や共創活動に携わる。
■イベント概要
開催内容:まずやってみよう! 自分のためのグラレコ術 ~思考を整理し、伝える力を高める「ビジュアル化」ワークショップ~
主  催:株式会社オカムラ
開催日時:2025年6月3日(火) 18:00~20:00
開催会場:東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート3階 オカムラガーデンコートショールーム内
開催形式:リアル参加30名

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