REPORT
2015.10.19
“Open Session #2” 開催レポート 「組織はワーキングペアレンツのジレンマとどう向き合うのか」
3人のスピーカーによるプレゼンテーションとクロスセッションでは、働き方そのものの改革の必要性や仕事仲間 の状況理解とアシストの重要性、「普通に働くこと」の難しさなどが指摘されました。ワークショップでは、ワーキングペ アレンツにとって「もっと楽しくなる働き方」についてチームで 議論しました。
2015.10.19
3人のスピーカーによるプレゼンテーションとクロスセッションでは、働き方そのものの改革の必要性や仕事仲間 の状況理解とアシストの重要性、「普通に働くこと」の難しさなどが指摘されました。ワークショップでは、ワーキングペ アレンツにとって「もっと楽しくなる働き方」についてチームで 議論しました。
まずはじめに、登壇者がそれぞれの研究成果や経験について、プレゼンテーションを実施。中野氏は「日本の会社で女性管理職が少ないのはなぜか?」を切り口に、日本社会が長時間労働を前提に成り立っていることを指摘しました。
これを受け、松下氏は「普通に働くこと」の難しさを、「職場とコンテクスト」という視点から「高コンテクスト=全人格的で、長時間のコミットメントが求められてしまう」状況にあることを説明し、「女性が職場で活躍できないという現状は、職場=風土=周りの人たちの問題である」ということを、データをもとに指摘しました。
ワーキングペアレンツの制約が制約とならないために、職場はどのように変わる必要があるのか。ワーキングマザーである花田は、自身の時間的制約の中で本を執筆した経験、その中でペアワークを実施した経験から、同じ目線で状況を理解してアシストしてくれる仲間がいることの心強さを語りました。
中野氏は、「評価制度や人事制度が仕事の質や生産性で評価できれば、制約がある人もパフォーマンスで対応できる」と説きました。また、松下氏は「ICTが、効率化ではなく空いた時間に仕事を詰め込んでしまうツールとなっている」と話し、個々人の努力ではなく、マネジメントでの対応策の必要性を強調しました。
これまでのクロストークを受け、スピーカーへの質疑応答へ。
1つ目の質問は、「働き方改善をどの企業も必要としているが、進んでいない。企業戦略に接続されていないのでは?」という鋭い内容。中野氏は、「企業のトップ層が口では必要と言っていても、実際には納得していないのではないか」と指摘しました。「それはいま上にいる人たちの成功体験が長時間労働から生まれたものであり、それ自体に自負があるため」と指摘した上で、「数ヶ月、小規模の部署などでトライアルをして実績を積み重ねるのがよい」と説きました。
松下氏も同様に、企業の「踏ん切り」を指摘し、「長時間労働を止めることで短期的に業績が落ちたとしても、長期的にはメリットがある、と思えていないのではないか」と指摘しました。また、社会の上流にいる大企業が乗り気でないことの問題点も併せて指摘していました。花田も同様に、「踏み切れなさ」に視点を当て、「肌身で感じないとわからないからこそ、まさに困っている当事者である自分たちが働き方を変え、上層部に肌身で感じてもらうしかない」と説きました。
2つ目の質問は、「ICTのポジティブな面も感じているものの、メールの登場以来忙しさが大幅に増大している。SNSやメッセンジャーなど新たなコミュニケーションツールを活用する上でメール登場時の二の舞にならないようにするには?」というものでした。松下氏は、認識の共有の重要さ(例えば、「LINEのようなチャットアプリで何時に既読して返信するか」など)について語り、併せて認識を合わせるマネジメントのコストを重視することを語りました。
中野氏は、「所属する会社のワークスタイルとしても、社内SNSにおいて深夜に連絡のやり取りが発生することはあるが、『返信不要』と明記するなどして対応している」と言います。そして、花田からは「時間の状況の捉え方は人それぞれであり、それぞれの事情があってこの時間に返信がきているのだな、といったコンテクストの共有が重要だ」と述べられました。
参加者の熱気にあふれるセッションを締めくくるのは、「ワーキングペアレンツの“はたらく”を考えてみる」ワークショップ。ワーキングペアレンツにとってもっと楽しくなる働き方、その働き方に必要な制度/ICT/ファシリティを考える個人ワークとチーム議論を行いました。
また、「その働き方がワーキングペアレンツ以外の人にとってどんなメリット/デメリットがあるか、解決するソリューションは何か」について考えていきました。各チームの発表では様々な意見や見解が飛び出ましたが、特に「理解」、「企業として多様な価値観を認めること」といった希望も込めた意見が散見されました。
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