REPORT

2025.04.15

【イベントレポート】「言葉の力で未来を拓く。~新時代に必要とされる“自分の言葉”とは~」を開催しました

「言いたいことがうまく伝わらない」「相手の意図を誤解してしまう」
――そんなもどかしさを感じたことはありませんか?

言葉は、相手を動かし、信頼を築き、未来を切り拓く最強の武器。今回は、「言葉で世界を変えるスペシャリスト」上田祥子さんをゲストにお迎えし、2025年4月15日に開催したイベントのレポートをお届けします。

働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変えることをテーマに掲げるWORK MILL(ワークミル)プロジェクトでは、「はたらく」の多様な可能性を探るイベントを開催しています。

今回のテーマは「言葉の力」。AIがどれほど進化しても、人の心を動かすのはやはり「言葉」です。しかし現実には、「本当はこう言いたかったのに伝わらなかった」、「相手の言葉の裏にある意図を読み違えた」――そんなすれ違いに悩む人は少なくありません。そうした現代人の悩みに、“言葉で世界を変えるスペシャリスト”として多方面で活躍する上田祥子さんをゲストにお招きし、“伝える力”を磨き、言葉の持つ本質的なパワーに迫りました。

“言葉で世界を変えるスペシャリスト”上田祥子さん。

 

イベント冒頭のチェックインワークでは、自身の「言葉にまつわる課題」についてワークシートに記入するところからスタートしました。その中で挙げられた声には、以下のような悩みが見られました。

・思考を言語化するのに時間がかかってしまう

・端的に表現することが難しく、どうしても言葉や文章が長くなってしまう

・無難な表現を選んでしまい、自分の本当の気持ちが伝わらないことが多い

「伝える」ことの難しさを実感している方が多く、言葉に対する課題意識の高さがうかがえました。

 

 

最初にチェックインワークで自身の言葉に対する課題を明確に。

語彙を増やすことでモヤモヤも言語化できる

たとえば「美味しい」という言葉ひとつをとっても、「旨い」「顎が落ちそう」「甘露」など、同じ意味を表す表現は多岐にわたります。語彙力の高い人は、こうした多様な表現を使いこなすことで、味覚の体験をより立体的に理解・共有することができます。その結果、記憶の解像度が高まり、より豊かな体験として心に残ります。そして、これはネガティブな感情にも当てはまります。

「なんだかモヤモヤするけれど、理由がよく分からない」――そんな経験は、誰しもあるはずです。

しかし、「イライラ」「不満」「心配」「迷い」「混乱」など、モヤモヤの内側にある感情を言葉で具体的に捉えられるようになると、その輪郭は少しずつ明確になっていきます。

語彙が増えることは、感情を整理し、自分自身をより深く理解する手がかりになります。

言葉の解像度を上げることで、体験や気持ちをより立体的かつ具体的に理解・共有ができる。

「語彙力」と「具体と抽象の往還力」を鍛えることで、言葉の力を育てる

言葉の解像度をさらにクリアにするためには、「具体」と「抽象」を行き来するというアクションが有効です。例えば「冷たいものが飲みたい」という抽象的な気持ちに対して、「コーラとか、ジンジャーエールとか…」と具体的に挙げることで、ただ冷たいものではなく炭酸水が良いということが分かります。

上田さんはこれを「抽象⇔具体の往還」として、思考の心臓部であり思考を深めるためのエンジンであると話します。この抽象と具体の往還を繰り返すことで自分自身の思考も深まり、伝える力も自然と向上します。このように「具体と抽象の往還力」と「語彙力」を継続的に鍛えることで、夢や目標を言語化できるようになり、行動が変わり、自分自身の未来も変えていくことに繋がります。

メモを取りながら、真剣な表情で受講する皆さん。

「具体⇔抽象の往還」を体験してみよう!

イベント後半では、参加者同士で「具体と抽象の往還」をワーク体験!

「素敵だと思う大人」を3人挙げてみるという具体化の作業から、その人のどのようなところが素敵だと思うのかを考える抽象化の作業、そしてその人たちに共通する項目を考えるというワーク体験です。

 

まずはそれぞれに素敵だと思う人をワークシートに書き込みます。
参加者同士それぞれの「素敵だと思う人」を紹介し合い、相手からのフィードバックでさらに解像度が上がります。

参加者の方が実際に挙げていた人物例では、ジェーンスーさん、大久保佳代子さん、堀井美香さんという皆さん。素敵だと思うポイントを抽象化すると「人生の経験から厚みのある言葉を持っている」、「50代を過ぎても人生これからという前向きな姿勢」、「常に機嫌が良い」という項目を挙げ、さらにこれらを纏めると「仕事の自分とプライベートの自分を両立し、自立をしている生き方や働き方」に憧れているのだと解像度が上がったそう。

当日、司会進行を担当したオカムラの唐澤菜々子さんは歌手のaikoさんと神田沙也加さんを挙げ、そして最後に思い浮かんだ人物はナイチンゲールだったのだそう。

「他人のことを想い行動できる利他的の精神や、信念をもって取り組んでいる様子に憧れているのだと言語化ができて良かったです。そして、今回のイベントを通じて参加者皆さんの人生は豊かになるととても嬉しいです」と話す唐澤さんの言葉からも、相手を想う利他の精神が伝わってきました。

 

 

素敵な笑顔の上田祥子さんと唐澤菜々子さん。
最後に参加者の皆さんと記念撮影。
イベント後も参加者同士で名刺交換や意見交換が行われ、和やかな雰囲気が続いていました。Seaのイベントでは人と人とのつながりを大切にしており、参加者の皆さんも楽しそうに談笑されていました。

言葉にできなかった想いがクリアになり、輪郭がはっきりとしてくる瞬間。今回のイベントでは、そのような様子がたくさん見受けられました。うまく言葉にできない不安やモヤモヤとした感情も、語彙を増やし具体と抽象を行き来してみることで、自分をより深く知ることができる、他者と丁寧につながるために大切な営みだと感じました。言葉は、ときに人を救い、ときに未来を拓く力を持っています。忙しい日々のなかでも自分の感情を具体的に捉え、相手に伝える努力を意識していきたいですね。

WORK MILLでは、「はたらく」の多様な可能性を探求することを目的に、今後もさまざまなイベントを開催していきます。ご興味のあるイベントがあれば、ぜひご参加ください。

 

テキスト:赤星 昭江
写真:株式会社ATOMica、株式会社オカムラ

 

 

- 登壇者

上田 祥子 氏

Social Learning Architect (社会的学びの設計士)

明蓬館高等学校・アットマーク国際高等学校理事長特別顧問

一般社団法人ハッシャダイソーシャル理事

東京学芸大学教育学部を卒業後、不動産ディベロッパー勤務を経て専業主婦に。2011年より埼玉県立高校で国語教師として勤務。2017年SDGsにまつわる教科実践がメディアに取り上げられ話題に。2020年一般社団法人ハッシャダイソーシャルの理事就任。公務の傍ら言葉に関する講演20本以上。2021年には高校進路指導DXシステム「Handy進路指導室」の開発に携わり、日本DX大賞官民連携部門で大賞を受賞。2023年より埼玉県教育局高校教育指導課指導主事。2025年より現職。三女の母。

唐澤 菜々子

株式会社オカムラ オフィス環境事業本部

首都圏営業本部 赤坂支店

2022年株式会社オカムラ入社。赤坂・九段下エリアを中心に、オフィス家具の販売や空間提案を担当。オフィス、学校など、様々な空間において、お客様の理想の空間を一緒に追求していくお手伝いをしています。大学時代は教育学部で教育心理学を専攻。学校空間や教員の働き方について、強い関心を持っています。
■イベント概要
開催内容:「言葉の力」で未来を拓く。~新時代に必要とされる“自分の言葉”とは~
主  催: 株式会社オカムラ
開催日時:2025年4月15日(火) 18:30~20:00
開催会場: 東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート3階 オカムラガーデンコートショールーム内
開催形式:リアル参加40名

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