REPORT

2024.10.08

【イベントレポート】そのお悩み、一緒に考えます。オフィス・働き方相談所~行きたくなるオフィス編~を開催しました!

オカムラの現役営業社員がマイクを握り、オフィスづくりや働き方に関するリアルな部分を柔らかくトークする人気シリーズ! 今回のテーマは「行きたくなるオフィス」って? 研究内容を凝縮してご紹介しつつ、参加者のみなさんと一緒にこれからのオフィスの在り方を考えた90分。
2024年10月8日に開催したイベントのレポートをお届けします。

「行きたくなるオフィス」って何だろう?

働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変えることをテーマに掲げるWORK MILL(ワークミル)プロジェクトでは、「はたらく」の多様な可能性を探るイベントを開催しています。いつもは共創空間「Open Innovation Biotope “Sea”」(東京・赤坂 ニューオータニガーデンコート3階/ガーデンコートショールーム内)でイベントを開催していますが、9月から12月にかけてはクローズ期間中のため、「旅する”Sea”」と題し、さまざまな場所に出張をしてイベントを開催しています。

 

今回の出張先はオカムラCo-Riz LABO。
コロナ禍を経て働き方が多様化し、在宅勤務が一般化した今、オフィスの価値とは何なのか?
こうした課題を抱えている企業が多いのではないでしょうか。今回は「行きたくなるオフィスとは?」をテーマに、2024年春の新刊『「行きたくなる」オフィス 集う場のデザイン』の著者であり、株式会社オカムラワークデザイン研究所リサーチセンター所長の花田愛さんが登壇し、書籍の内容を凝縮してご紹介。さらに、同じくオカムラの営業社員として日々、クライアント企業のオフィス課題に真っ正面から向き合い、オフィスづくりに取り組む中山裕士さんと唐澤菜々子さんを迎え、参加者皆さまからのオフィスに関するリアルな相談内容も取り上げつつ、共に新しいオフィスのかたちを探るイベントを開催しました。

「オフィス・働き方相談所シリーズ」は毎回多くの方に参加いただいている人気シリーズ。オンライン・現地含め約40名の方に参加いただきました。

イベントでは、最初に参加者の皆さんにチェックインワークとして、“今回参加した思惑”を記入いただきました。参加者の皆さんと目的を共有するのも、共創を大事にするSeaのイベントらしさの特徴です。

チェックインシートに記入した内容を近くに座っている人同士で共有。

参加された皆さんからは

  • オフィスレイアウトを改修するにあたり、社員のモチベーションが上がるヒントを見つける
  • 働き方の方向性について情報収集するとともに、自社の今後の働き方に活かしたい
  • プロフェッショナルの方から話を聞きたい

などの思惑があがっていました。

 

参加目的を認識できたところで、イベント本題へ。登壇者の花田さんから書籍でも紹介している「行きたくなるオフィス」づくりについて、調査結果と具体的な事例を用いて紹介いただきました。

そもそも「行きたくなるオフィス」を実現することでどのような効果が期待できるのでしょうか。

 

コロナ禍を経てオフィスが“当たり前に行くべき場所”から“働く場の選択肢のひとつ”となりましたが、働きたい場所の割合はオフィスが最も高いという調査結果 ※1)からも、人的資本経営が重視される現代において「ウェルビーイングを高めるオフィスづくり」は経営課題解決としても有効であると花田さんは話します。

※1)ワーカーがこれからの「オフィス」で重要視すること『WORKMILL RESEARCH002 はたらき方のニューノーマル』オカムラ,2020,p40-41
花田愛さん|株式会社オカムラ ワークデザイン研究所 リサーチセンター所長

では、「行きたくなるオフィス」とはどのようにつくれば良いのでしょうか。

 

オカムラでの共同研究 ※2)の結果、「行きたくなる」オフィスの要素は「行動面」と「心理面」、「交流」と「創造」の2軸で、以下4つの特徴に整理できるのだそう。

 

  • 自分の仕事に合った場所を選んで、効率的にふるまえること(交流×行動面)
  • リラックスして発想を広げられること(創造×行動面)
  • メンバーとつながり、安心できること(交流×心理面)
  • 居心地よく、気持ちよく、仕事ができること(創造×心理面)
※2)
花田愛・高橋正樹・渡辺秀俊・浅田晴之「『行きたくなる』ワークプレイスの研究 その1 研究概要及びアンケート調査」『大会学術講演梗概集』環境工学,日本建築学会,2021,p91-92
高橋正樹・花田愛・渡辺秀俊・浅田晴之「『行きたくなる』ワークプレイスの研究 その2 インタビュー調査」『大会学術講演梗概集』環境工学,日本建築学会,2021年,p93-94
「行きたくなるオフィス」要素マッピング(Infographic:田部井美奈、栗原瞳子)

それぞれの要素のポイントとして、①のポイントでは、職種などが異なる人同士がそれぞれ自分に合ったワークスペースをもち、互いが効率的なふるまいができる空間づくりが大事なのだそう。集中できる環境も人それぞれです。②では観葉植物などグリーンを感じる空間づくりと、リラックスできるソファ席を設けるなどが有効に。

 

③のポイントでは、他者を感じ安心できる、まわりの人と良い関係が構築できるという効果を生むために、カフェスペースやコミュニケーションが取りやすいカウンタースペースが有効になるのだそう。「会社に出社したけど今日誰とも話していない……」なんてことがないように、交流スペースはオフィスづくりの醍醐味と言えそうです。

 

最後に、④では窓向きに席を置くなどして景色の良さや開放感を感じる場づくりにより、働く人がやさしい気持ちになれることで、社内のピリピリやギスギスとした雰囲気の払拭が期待できるのだそう。

 

参加された方のなかには実際にリラックス空間の実例として、「オフィス移転を機に、オフィスで靴禁止&スリッパ使用をルール化し、座敷スペースを設けたことで、リラックススペース兼逃げ場ができました」というお話を伺うことができました。花田さんからも「頭を休める意味でも逃げ場をもつことは重要」との意見が。

イベントでは登壇者が一方的に話すだけでなく、参加者の皆さんからも積極的な意見や質問が飛び交いました。

つづけて花田さんは、こうした4つの要素をバランスよくオフィス全体に点在させることが重要だと話します。

 

オカムラ赤坂支店で働く唐澤さんも、実際に赤坂支店が入居するオフィスは「交流」と「集中」スペースがバランスよく点在しているため交流が生まれやすいと紹介してくれました。

(写真右)唐澤菜々子さん|株式会社オカムラ 赤坂支店

そのほかにも、イベントでは参加者からのリアルな質問に登壇者が回答をしました。

「営業マンなど表にいる方が良いとされるような職種に対して、行きたくなるオフィスのバランスはいかがでしょうか?」との質問では、中山さんから「“行きたくなる”と“居続けたい”は別物だと感じます。行きたくなるオフィスづくりでは、場づくりだけでなく運用も大事です。例えばチームでルールを決めるなどして、チームで集える運用設計がポイントになると思います。」との意見が。

(写真中央)中山裕士さん|株式会社オカムラ 中央支店

「リモートワークから出社へ回帰する動きがあるが、単に仕組みを戻すだけでは意味がないと感じる。出社する意味や、社員が希望して出社したくなる仕組みについて意見を伺いたい」との質問では、唐澤さんから「ハード面だけではなく、ソフト面での仕掛けも求められているように思います。例えばコーヒーが自由に飲めたりという福利厚生の恩恵も良いと思いますし、ほかには、現在オカムラ社内でも実証実験として実施している“ありがとうの気持ちを贈り合うプロジェクト”などはオフィスに出社するからこそ参加できるもの。こうした仕掛けも最初の意識付けとして効果的だと思います。」との意見が。

隣に人が立つ時の仕切りの隙間による集中度・守られ感とオフィスづくりの実例(Infographic:田部井美奈、栗原瞳子)
テーブルの大きさや高さの違いにより会話の快・不快度とオフィスづくりの実例(Infographic:田部井美奈、栗原瞳子)

そのほかにも、イベント内では調査結果の根拠や視点に基づいたオフィスづくりの事例をたくさん紹介いただきました。デスク間における仕切りと集中度の関係や、テーブルの大きさや高さによる会話の快・不快度についてなど……気になる方は、ぜひ書籍をチェックいただけたらと思います。

イベント後は現地参加者だけの特典として、オカムラのオフィス見学を実施。イベント内で紹介した4つの要素を踏まえた空間づくりやオフィス家具の特徴を中山さんと唐澤さんが紹介しました。実際にオフィス空間を見学し、イベントで紹介したオフィスづくりの仕掛けを実体験することで、参加者の皆さんも満足そうな様子でした。

イベントではオフィスづくりについてアカデミックな視点から分かりやすく説明をいただきました。参加された皆さんは、きっと明日から活用できるオフィスづくりのTipsをたくさん持ち帰っていただけたのではないかと思います。

機能的な価値が向上した現代では、他者とのコミュニケーションが希薄化しがちであり、これこそ現代の新たな課題となっているように感じます。あらゆる人達がオフィスに集いコミュニケーションを図ることで、新たなイノベーションや価値創造につながります。そうしたコミュニケーションや個々人の業務効率化を追及するために、オカムラでは今後もオフィス家具づくりはもちろん、WORK MILLでのイベントを通して企業の課題解決に取り組んでいきたいと考えます。

 

テキスト:赤星 昭江
写真:株式会社ATOMica、株式会社オカムラ

【イベント概要】
オフィス・働き方相談所~行きたくなるオフィスって?編~
開催日程:2024年10月8日(火)15:30-17:00
会  場:株式会社オカムラCo-Riz LABO(東京都中央区京橋2-1-3 京橋トラストタワー11階)
参加者数:約40名(オンライン・リアル含む)
登 壇 者:花田 愛|株式会社オカムラ 働き方コンサルティング事業部 ワークデザイン研究所 リサーチセンター 所長
中山裕士|株式会社オカムラ 首都圏営業本部 中央支店
唐澤菜々子|株式会社オカムラ 首都圏営業本部 赤坂支店

書籍「行きたくなるオフィス」集う場のデザイン

イベントで紹介した内容以外に、もっと詳しい内容を書籍で紹介しておりますので、気になる方はぜひ書籍もチェックいただけたらと思います。

https://www.okamura.co.jp/corporate/news/other/2024/publication_ikitakunaruoffice.html

 

 

オカムラCo-Riz LABOとは?

働き方の実証実験を行うオカムラの自社拠点です。 実際にオカムラ社員が働く様子を見学いただきながら、レイアウトや運用方法、経験から得られた知見をご紹介しています。移転・改装を検討中やオフィスの運用にお悩みの場合など、情報収集の機会としてご活用いただけます。

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