REPORT

2025.01.28

【イベントレポート】「面白い人たちと出会うコツ –極めすぎた人たち- 」を開催しました

働き方や働く環境が多様化する現代、働く個々がしっかりと”価値観”を持つことが、企業の成長に欠かせない要素となっています。
元オカムラ営業マンの鵜久森洋生さんをモデレーターに、写真家の藤田修平さんと株式会社由紀精密社長の永松純さんと、異なる分野で活躍する皆さんの仕事への情熱・想い・こだわりを感じとり、「極めすぎた人たち」の視点から真の価値とは何かを探求したイベントレポートをお届けします。(2025年1月28日開催)

働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変えることをテーマに掲げるWORK MILL(ワークミル)プロジェクトでは、「はたらく」の多様な可能性を探るイベントを開催しています。

働き方や働く環境が多様化する現代において、働く個々が己の中にしっかりと”価値観”を持つことが求められています。今回は、元オカムラ営業マンの鵜久森さんをモデレーターにお迎えし、ゲストの写真家 藤田さんと株式会社由紀精密 社長の永松さんと、異なる分野で活躍する「極めすぎたお二人」の仕事への情熱・想い・こだわりについてお話を伺いました。

年間1,500人以上と出会う鵜久森さんが大事にしている3つの習慣

Seaのイベントでよくある相談のひとつが「どうやって人と出会うのか?そして、その出会いからどうやって仕事へ繋げるのか?」というもの。共創が注目されるようになり、社内外や異業種、学校、行政、団体など…あらゆる人との出会いが求められるようになりました。実際にビジネスの場では、新たなご縁によって新しいビジネスチャンスを見つけられたり、協業や提携の可能性に繫がるほか多様な視点やアイデアに触れる機会にもなります。

元オカムラ営業マンで、現在は来年で80周年を迎える松山工業株式会社の代表をつとめる鵜久森 洋生さんは、ご縁つなぎのスペシャリスト。年間1,500人程の人と出会い、その出会いから事業収益にもつなげている鵜久森さんは、面白い人と出会うためのコツとして次の3つのポイントを大事にしているのだそうです。

鵜久森さんが大事にしている、面白い人と出会うための3つのポイント。
  • 興味の対象を増やす

例えば鵜久森さんは、相手と共通の話題として盛り上がるキーワードをたくさんもっています。趣味の音楽や写真撮影といったプライベートの話題だけでなく、ものづくりを軸に行なっている独自の共創イベントや、コミュニティ創出を通じて得られたキーワードによって、スタートアップ支援や地方創生などの取り組みで成果につなげています。また、鵜久森さんは越境活動を実践することにより活動領域を広げ、誰かと出会った際にも何かしらの共通キーワードがあれば、それを軸に関係性を深めることができます。興味やキーワードが増えるだけ出会いの数も増え、その先のご縁に繋がっているのだそう。

 

  • 出会いの場に数多く出向く

ビジネスネットワーキングを目的としたイベントや環境が増えた現代では、誰にでも出会いの場に参加するチャンスが生まれました。そんな中で、鵜久森さんは名刺交換が目的ではなく、その先の良縁にどれだけ繋がるのかが大切だと話します。松下幸之助も大切にした「共存共栄」という言葉を軸に、大手企業の新需要創出時のアドバイザー役や、地域間共創系イベントの企画運営、ハードウェアスタートアップ支援など、フィールドの異なる場で鵜久森さんは新たに出会った人とのご縁を大切にし、まずは利他的な姿勢でコミュニケーションを図ることによって、最終的には収益に繋げています。

 

  • 情報発信をとにかく続ける

そして、鵜久森さんはSNSやブログを通じて自身の情報発信も継続しています。自身のnoteは毎週5日、1日1,200字以上で発信を続けており、現在は50万以上のアクセスを得るまでに。元々は三日坊主な性格を直したいと始めた執筆活動も、気が付けば隙間時間を有効活用しながら継続出来るようになったそうです。

 

 

鵜久森さん公式note

https://note.com/ukumori_hiroo

 

最初は収益に繋がらなかったことも、利他の精神で継続していると、10年が経ったいま収益に繋がってきたと語る鵜久森さん。

困難もチャンスに変え、常に新しいチャレンジを続ける

その道を極めたお二人、写真家の藤田さんと株式会社由紀精密の取締役社長の永松さんをゲストに迎えてのトークセッションでは、極め道で苦労したことや、これから極めたいこと等についてお話を伺いました。

 

・極め道で苦労したことは?

永松さん:私はもともとオーディオ好きが高じて、アナログレコードプレーヤーに興味をもち、会社で制作したいと考えるようになりました。会社では普段、航空宇宙関連の部品や人工衛星の設計・製作など技術を求められるを行っていますが、特に旋盤加工を解くとする由紀精密なら回転体の製造が出来ると考えていました。そのような背景をもあり、ターンテーブルの試作品をつくろうと動き始めたのですが、その当時の社長や役員に対して、利益や販売予測など事業的な安定性を説明するのが難しいと思い、会社に無断で制作をはじめました(笑)もちろん、社長もそんな私の行動にいつのまにか気づき、把握したうえで自由にさせてくれていたのですが、ゆっくりと社内に残っている端材を集め、こっそり開発・検証を2年半続けたことが苦労したエピソードです。

 

藤田さん:困難だと思うことは基本やらないようにしていますね(笑)ただ、意図せず困難に遭遇してしまった経験はもちろんあります。昔、グラビア撮影で南の島に行ったときに、低気圧が発生してしまい撮影期間中ずっと曇っていたんです。どうしようと考え、水着でお風呂やベッドサイドでの撮影をしたのですが、その時「本質を撮るべきだ」と気付いたんです。天気は関係なく、雨ならそのなかで撮影をすればいい。現場の雰囲気を楽しくして、タレントの方が楽しんで気分がのってくれればそれでOK。そうしたことに気付くまでに随分時間がかかったように思います。写真家はフリーで活動していると誰か教えてくれる訳ではないので、自分自身で学んで気付いていくしかないということが苦労した経験ですね。

 

・これから極めたいことは?

藤田さん:スマートフォンの撮影を極めたいですね。実はいま鵜久森さんとスマートフォン限定の撮影会を企画しているんですが、スマホでもなんでも、何を撮りたいのかという核の部分が大事なんです。スマホ撮影だけで稼いでいる人もたくさんいますよね。

 

鵜久森さん:これは写真家として藤田さんが経験をつんだからこそ言える言葉ですね。

 

永松さん:私はコロナ禍で、ターンテーブル「AP-01」の前身である「AP-0」の海外販売を開始したのですが、ドイツで販売した際に、商品にどこにも日本製と記載をしていなかったのに、ドイツの方から日本製だと分かると言っていただきました。日本の技術力はすごくて、例えばスペースデブリ(地球の周回軌道上を漂う人工物体の残骸や破片、宇宙ごみ)を除去する技術も日本の会社が持っています。この日本人ならではの技術や「ものづくり」への想いや力を今後も極めていきたいと思います。

 

鵜久森さん:後ほど会場の皆さんにも聴いていただきたいですが、「AP-01」は随所に音の良さを追求した永松さんのこだわりが施されています。その「ものづくり」への信念と継続、素晴らしいです。

永松さんが開発したターンテーブル「AP-01」

✅由紀精密「AP-01」の詳細をチェックする

https://audio-yukiseimitsu.com/

 

 

フォトセッション、リスニングセッションの体験イベント

後半は極めたお二人の技術を実際に見て聴いて体験できるセッションを用意。体験セッションを設けた理由として、鵜久森さんは次のように語ります。「今回は“実体験する”ということを通じてしか体験出来ない…そんな機会を演出しようと企画を考えました。撮影と音楽視聴のどちらも、オンラインでは全く伝わるものがありません。オンラインのイベントは、気軽にイベントに参加出来る一方で、実は本質に触れるという機会は失われている…その点に気付いてもらう機会になればと思っていました」

 

・藤田さんの撮影セッション

当日はSeaコミュニティマネージャーの岡本さんと宮野さんが撮影を体験。藤田さんの自然な表情を引き出す撮影の技術に会場の皆さんも興味津々。撮影した写真をモニターチェックしつつ、プロの技術を目の当たりにしました。さらに、特別に参加者の方も撮影を体験。撮影後はその出来栄えに嬉しそうな様子がうかがえました。

普段はあまり経験することのないプロの撮影に皆さん最初は緊張している様子でしたが、藤田さんの物腰柔らかな空気感に自然とリラックスして撮影できた様子が伺えました。

・永松さんのリスニングセッション

当日はターンテーブル「AP-01」を特別に会場へご用意いただき、全員でその音の精密さを体験。永松さんオススメのレコードで、聖歌隊が歌うクラシックから、イルカさんの「なごり雪」まで、実際に目を閉じてレコードを聴くと、まるで目の前に聖歌隊やイルカさんがいるかのようなリアルなサウンド。「AP-01」の販売価格は約400万円と高額ですが、その理由が分かるだけのリアルなサウンド体験に皆さん驚きの表情と満足している様子が伺えました。

音のリアルな美しさに耳をすませる参加者の皆さん。

現代では「推し活」など、何かに夢中になることでストレスが軽減され、生活が豊かになると評価されています。その熱中できる体験が仕事と重なることは、まさに理想的な生き方だと感じます。自分には難しいと思ってしまいがちですが、藤田さんや永松さんのように、仕事の中で好きなことを極める道もあれば、副業やプロボノといった形で関わる方法もあります。大切なのは、「好き」をあきらめず、どんな形でも取り入れ、信念をもって継続していくこと。そんな可能性を改めて実感させられるイベントでした。

WORK MILLでは「はたらく」の多様な可能性を探るべく、今後もあらゆるイベントを開催していきます。気になるイベントがあればぜひご参加ください。

 

 

テキスト:赤星 昭江
写真:株式会社ATOMica、株式会社オカムラ

 

 

 

- 登壇者

藤田 修平 氏

有限会社 藤田修平写真事務所 代表

大阪芸術大学写真学科在学中に、日本のドキュメンタリー写真作家のカリスマ的存在であった土門拳氏の最後の撮影に立ち会い写真家の道を志す。六本木アートセンターでアシスタントカメラマンを経て、渡辺達生氏に師事。1988年に有限会社 藤田修平写真事務所を設立。独立後は忌野清志郎などミュージシャンのレコードジャケットや雑誌、タレントの写真集などを中心に活動し、特にポートレートを得意とする。近年は国内外の旅を中心に自然や文化遺産なども撮影し表現の幅を広げてきた。

永松 純 氏

株式会社由紀精密 取締役社長

株式会社由紀精密 取締役社長 オーディオおよびクラシック音楽愛好家。2001年青山学院大学在学時に金属系では最高温で超伝導転移する物質MgB2を発見し、英国科学雑誌「Nature」に論文掲載。2002年「超伝導科学技術賞」受賞。株式会社インクス(現・ソライズ)、株式会社ディスコを経て、由紀精密に入社。2021年より現職。開発部長時代、会社に無断でアナログレコードプレーヤーの開発に着手し2020年にAP-0をリリース。その後継機であるAP-01は2024年に「Analog Grand Prix Gold Award」受賞。フランスDiapason magazin誌では“Maillon de Rêve(あこがれの製品)”に推薦されるなど国内外で注目を集めている。

鵜久森 洋生 氏

松山工業株式会社 代表取締役社長

元オカムラ営業マン。現在は、工業用の素材や部品を扱う商社、松山工業株式会社の代表取締役社長として活動中。20年かけて社内風土を変え、分業体制を確立。本業は社員に任せ、自らはフィールドを問わずに「ご縁つなぎ」を行ないつつ、新需要創出に注力。現在は「共存共栄」という言葉を軸にしながら、大手企業の新需要創出アドバイザーや、地域間共創系イベントの企画運営、ハードウェアスタートアップ支援などを行なっている。
■イベント概要
開催内容: 面白い人と出会うコツ-極めすぎた人たち-
共  催: 株式会社オカムラ
開催日時:2025年1月28日(火) 19:00-20:30
開催会場: Open Innovation Biotope "Sea"(東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート3階 オカムラガーデンコートショールーム内)
開催形式:リアル参加40名程
参加費用:無料

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