REPORT
2015.09.25
“Open Session #1” 開催レポート 「オフィスは本当に必要か」
Seaの初回となるオープンセッションは、君塚氏と岩佐氏によるクロストーク、そして「オフィスが本当に必要だとしたらどんなオフィスか?」というテーマでワーク ショップが行われました。
2015.09.25
Seaの初回となるオープンセッションは、君塚氏と岩佐氏によるクロストーク、そして「オフィスが本当に必要だとしたらどんなオフィスか?」というテーマでワーク ショップが行われました。
オープンイノベーションビオトープ“Sea”におけるはじめてのオープンセッションには、世界最古のマネジメント誌であるハーバード・ビジネス・レビューの日本版編集長を務める岩佐文夫氏と、株式会社ロフトワークにてマーケティング戦略立案やマネジメントを担当する君塚美香氏をゲストにお招きしました。そして、オフィス設計を手掛ける岡村製作所としては実に挑戦的な「オフィスは本当に必要か」というテーマのもと、岡村製作所の遅野井を交えたセッションを行いました。
クリエイティブエージェンシーであるロフトワークで働く君塚氏。ロフトワークは、プロダクトや空間デザイン、コミュニケーション設計などのクリエイティブワークに関する案件を手掛けていますが、実際にロフトワークの社内にはクリエイターやデザイナーはおらず、ディレクターのみが所属しているのだそうです。「そのほかの担い手は、社外ネットワークからプロジェクトごとにアサインし、コラボレーションしながら、仕事を進めるという方法をとっている」と、君塚氏は語りました。
それに関連して、岩佐氏からダイヤモンド社の出版する書籍「ALLIENCE(アライアンス)」についてのトピックスが投げかけられました。本書で紹介されている「個人が仕事ごとに契約し、その仕事を達成したら、契約関係は終了する」という、シリコンバレーで多く見られる「アライアンス」という雇用形態が話題に。また、契約が終わっても個人は組織との信頼関係を築き、有益な「卒業生ネットワーク」が構築されていると言います。おふたりの話から、組織と個人の関係性が変化し始めていることがうかがえました。
「イノベーションの生産性をどうやって測定するか?」
遅野井が挙げたトピックスから、優れた生産管理のメソッドとして世界に知られるトヨタ生産方式を生み出した大野耐一氏の話へ。大野氏は、たまたま寄ったアメリカのスーパーから発想を得て、トヨタの「かんばん方式」を生み出したそうです。「たまたま」から生まれたイノベーション、しかし、それはその前に膨大な量のインプットがあったからこそ生まれた結果とも言えます。生産性とは、一般的に「インプット分のアウトプット」を指します。少ないインプットに対し、アウトプットが大きいほど生産性は高くなります。大野氏の例のようなイノベーションはアウトプットの効果が爆発的に大きかったから、アウトプットにいたる前のすべてのインプットを正当化できたという見方もできます。
その一方で、世の中には試行錯誤を続けていても、実になっていない活動も多くあり、それはイノベーションというアウトプットが生まれない限りは正当に評価される対象にはなりえません。「何になるのかはわからないが、イノベーションに向けてやらなければいけない仕事」に対して、どのようにマネジメントしていくのか。人事考課を半年おきに行ったとしても、2、3年後に出てくるであろうアウトプットを見据えて、それまでのプロセスをきちんと評価できる企業でないといけません。「評価を可視化できる生産性に頼っていると、短期的な経営になってしまう」と、現代企業の抱える課題を指摘されました。
前半のクロストークを終えたあとは、議論内容をふまえた上で、「オフィスは本当に必要か」というテーマに沿って参加者全員でワークショップを行いました。
ワークショップの最後に、「本当に必要だとしたら、それはどんなオフィスか?」という問いに対するひとりひとりの答えを共有しました。「本当に必要」なこととは、「経験を共有できるオフィス」、「基地のようなオフィス」、「時間と空間を超えるオフィス」など、様々な意見が発表されました。
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